当工業会では、企画情報委員会を中心に舗装ブロック関連技術の開発を行っております。2007年には、「保水性ブロック舗装用無機系保水材」の開発を行いました。
近年、我が国ではヒートアイランド現象といわれる都市の温暖化が急速に進んでいます。過去100年において、地球の平均気温が0.7℃上昇したのに対して、東京の平均気温は3.0℃も上昇しており、諸外国の大都市に比べてその温暖化は顕著となっています。特に夏季の大都市の温暖化は生活環境を年々悪化させており、深刻な社会問題になっています。 こうした背景から、近年これを抑制する手段として保水性舗装が注目を集めており適用も進んでいます。 当工業会では、保水性の優れた保水材と水とを混合した保水性セメントミルクを、基盤である透水性ブロック舗装の空隙部に充填する保水性舗装技術を開発しました。 詳細は以下をご参照下さい。また、施工の様子を動画で公開しております。
施工面積1m²に使用する標準的な保水性セメントミルクの使用量の一例を下表に示します。保水材質量に対して200%の水と混合して保水性セメントミルクを製造します。
基盤ブロック 厚さ (mm) |
基盤ブロック 空隙率 (%) |
基盤ブロック 個数 (個/m²) |
保水材 使用量 (kg/m²) |
水量 (kg/m²) |
保水性セメントミルク 練上り量 (kg/m²) |
---|---|---|---|---|---|
60 | 23 | 50 | 6.00 | 11.99 | 17.99 |
60 | 23 | 50 | 6.49 | 12.97 | 19.46 |
保水性セメントミルクの施工フローを右図に示します。 基盤となる透水性ブロックの敷設が終了した後に、保水性セメントミルクを混練し、ブロックの表面から注入します。 保水性セメントミルクを注入した後は、表面処理を行います。 表面処理方法としては、表面に付着した保水性セメントミルクを高圧洗浄機で洗浄することを基本としています。
保水性セメントミルクを充填したブロックの性能の一例を下表に示します。なお、測定値はブロック側面の保水性セメントミルク(目地部)も考慮した値です。
試験項目 | 測定値 | 規格値 | 準拠規格 |
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保水量 | 0.19 g/cm³ | 0.15 g/cm³以上 | 保水性舗装用コンクリートブロック品質規格 (社団法人インターロッキングブロック舗装技術協会) |
吸上げ高さ | 93 % | 70 %以上 |
気温30℃を超す真夏日において、密粒度アスファルト舗装に対して、降雨翌日で14℃程度、降雨6日後においても13℃程度と高い路面温度低減効果を示し、かつその効果が持続することを確認しました。